なごり雪

時が止まってしまったかのように
すべてが止まって見えた
指先が少しだけ触れた瞬間
自分も止まってしまうかと思った

この気持ちをどうやって伝えたらいいのでしょう
想えば想うほど臆病になっていく

愛しくて眠れない時もあった
切なくて涙が出る時もあった

桜の花びらに降り積もる
なごり雪が消えてしまっても
この想いは私の中でたった一つの奇跡

さくら

薄紅色の花びらがはらりはらりと舞い落ちる
春風に乗った花びらは
見慣れた背中を隠すように舞う

とうとう言うことが出来なかった一言を胸に秘めて
「さよなら」
とつぶやくのが精一杯だった

じゃ、また・・・

次はいつ逢えるのですか？
もし逢えたとしても
たぶん今とは違っている

はらりはらりとこぼれ落ちる
もう少し勇気がでなかった
そんな悔しさと切なさと寂しさで

はらりはらりとこぼれ落ちる
最後まで見ていたい背中を遮るように

はらりはらりとこぼれ落ちる
そんな桜を見るたびに
今日のこの想いを思い出すでしょう

どうか、今は振り向かないでください
まっすぐに前を向いて歩いて行ってください

私の気持ちに気づかないまま
そのままで歩いて行ってください

はらりはらりとこぼれ落ちる
どうか涙に気づかないでいてください

声

　ねぇ、聞いて。
　私の声が聞こえる？

　手を伸ばしたら触れそうな距離にいるのに、
　あなたはどこか遠くを見て話している。
　私はあなたの言っている事が
　外国語を聞いているかのように分からないよ。

　私の事を心配して言ってくれている。
　うん、その気持ちは
　すごく伝わってくるのだけれども・・・

　でも、それならちゃんと私の顔を見て言ってよ。
　目を見て言ってよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　私、今、どんな表情をしている？

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あなたはそれに気づいている？

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このままだと不安になってしまうよ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『今マデ、アナタハ私ノドコヲ見テイタノ・・・？』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こういう時に言葉が見つからない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　どうしていいのかわからない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「お願い、私の声を聞いて」
　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　
　

雨の日のそら

雨は嫌いだった。
いつも憂鬱な思いしかしなかった。
だけどあの時あなたの笑顔と声で世界が変わった。
どんよりとした雲のような自分を
やさしい雨で洗い流してくれるかのように…
あなたの声が、言葉が心まで入ってきた。

だから、雨の日も好きになった。

今も雨の日のそらを見上げると想い出す声。
その言葉ひとつひとつが私を勇気づけてくれる。
あなたと出逢えてよかった。

ありがとう。

恋花火。

ずっと手を繋いでいたかった。
このまま時が止まってしまったらいいと思った。
花火がパッと散る一瞬の刹那
涙が出そうなくらい切なかった。
そんな気持ちを心の中に詰めて
はしゃいだように笑って見せた。
さよならするのは寂しいから
もう少しだけそばにいさせて下さい。